特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて
14.腎・泌尿器疾患
腎疾患に合併する眼底疾患とHELLP症候群
高橋 京一
1
1群馬大学大学院医学系研究科視覚病態学
pp.295-303
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102049
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腎性網脈絡膜症
Duke-Elder,猪俣1),臼杵2)は,悪性高血圧症と慢性糸球体腎炎に併発する網膜症を広義の腎性網膜症,慢性糸球体腎炎に併発した網膜症を狭義の腎性網膜症と定義している。一方,沖坂3)は,腎性高血圧患者にみられる網膜症を腎性網膜症としており,そのなかには慢性糸球体腎炎,妊娠中毒症,悪性高血圧などの病態があるとしている。
腎性網膜症の患者にフルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:以下,FA)やインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:以下,IA)を行うと,その基本病態が網膜,脈絡膜での高血圧性の循環障害であることがわかる。したがって,検眼鏡だけで腎性網膜症と腎疾患に起因しない悪性高血圧症による網・脈絡膜症を区別することは難しい。悪性高血圧性の眼底病変をみた場合,全身的な臨床データに熟知し,それが腎疾患由来であるかどうかを判断する必要がある。自分で判断できない場合は,腎臓内科医や泌尿器科医に積極的に助言を求めることも必要である。
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