特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべてコラム
眼科研究こぼれ話
眼底写真をみつづけて―ICG蛍光造影,そして自発蛍光へ
河野 剛也
1
1大阪市立大学
pp.26-27
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101983
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私が,ICG蛍光造影(IA)を知った1990年頃は,林一彦先生が赤外カメラの利用により臨床的に広く利用可能な装置に改良し,トプコン社のプロトタイプが日本で使われようとする時期でした。当時のIAの認識では,確かに脈絡膜血管の描出が可能で,脈絡膜循環の検討には利用できそうですが,画像は全体としてボーッとしていて,糖尿病網膜症などの網膜血管病変の描出はフルオレセイン蛍光造影(FA)には,はるかに及ばず,「これが臨床的に意味あるの?」という状態でした。一方,林先生が加齢黄斑変性(AMD)の脈絡膜新生血管をIAが捉えることができることを報告され,Yannuzzi先生が精力的にAMDでの有用性を検討している時期でもありました。
教室では,中心性漿液性脈絡膜症や鈍的外傷眼の脈絡膜循環障害の研究を行っており,当時の三木徳彦教授が,以前からIAに興味をもたれていたことから,IAを使いなさいと指示されたわけです。私としては,当然,AMDや中心性漿液性脈絡膜症などの黄斑疾患がテーマになると思ったのですが,外傷眼,それも家兎眼モデルにIAをしなさい,IAでどのような所見が得られるか,IA所見が何を表しているか,この検査の本質を掴みなさいとのことでした。ちょうどその頃,家兎眼モデルを使って鈍的外傷眼での脈絡膜血管損傷を,鋳型標本を使って検討する実験を手伝っていたので私に白羽の矢が立ったわけです。
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