特集 網膜硝子体診療update
Ⅰ.検査法update
自発蛍光で見えるもの
石龍 鉄樹
1
1福島県立医科大学眼科学教室
pp.48-55
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102455
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はじめに
生体内には,ビタミンやコラーゲンをはじめとして多くの自発蛍光物質がある。これらは,組織固有の構成要素から出ていることが多く,機能測定や診断の目的で応用が進められている。眼球では,角膜,水晶体,網膜などで自発蛍光がみられることが知られている。
眼科領域ではフルオレセイン蛍光眼底造影の際に,視神経乳頭ドルーゼンでは色素注入前から蛍光を示すので,眼底に自発蛍光物質が存在することが知られていた1)。またフルオレセイン色素の硝子体腔内への拡散をみる蛍光測定(fluorophotometry)の際には,眼底からの自発蛍光が計測されることがわかっていたが,眼底自発蛍光は微弱であるため臨床応用はされなかった。1990年代に入り高感度,高コントラストの走査レーザー検眼鏡が開発され,臨床でも自発蛍光の観察が可能になった2,3)。最近では,加算平均などの画像処理技術も加わり,より高画質の自発蛍光画像が得られるようになった。臨床症例における眼底自発蛍光の知見も次第に整理されつつあるが,まだ不明な点も残されている。
本項では,これまでに明らかとなってきた眼底自発蛍光の知見を整理し,解説した。今後の診療に役立てていただきたい。
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