特集 網膜病変の最近の考え方と新しい知見
眼底自発蛍光の臨床応用
白木 邦彦
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1大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学
pp.113-121
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102121
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はじめに
眼底自発蛍光は,主に網膜色素上皮中のリポフスチンの発する蛍光の有無および多寡から網膜色素上皮の状態を推測するものである。造影剤であるフルオレセインの発する蛍光を観察する眼底血管造影と異なり,造影剤なしに眼底自体の発する蛍光を観察する。したがって,造影剤に対するショックなどのアレルギー反応には無縁の検査法であり,撮影光による羞明以外被験者に負担のない非侵襲的な検査である。
従来の眼底カメラでも,乳頭ドルーゼンの発する自発蛍光に関しては,フルオレセイン眼底造影に使用する励起およびバリアフィルターを用いて,撮影フィルムの増感あるいはCCDカメラの感度上昇により観察できた。しかし,眼底後極部の発する自発蛍光は捉えることはできなかった。当初,インドシアニングリーン蛍光造影の臨床導入当時に,Fitzkeらによって開発された共焦点型走査型レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:以下,SLO)で初めて臨床の場での眼底自発蛍光撮影が可能になった1)。しかし,市販のままでのローデンストック社製SLOでは眼底自発蛍光を捉えることはできなかった。その後,共焦点型走査型レーザー検眼鏡(ハイデルベルグ社製レチナアンジオグラム:HRA)2)の市販により一般臨床の場でも撮影可能となった。最近では,市販には至っていないものの,特殊な励起およびバリアフィルターを挿入することで眼底カメラ(トプコン社製)でも眼底自発蛍光が撮影できるようになってきている3)。
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