連載 眼形成手術手技16
眼瞼下垂―(2)挙筋腱膜縫着術
野田 実香
1
Mika Noda
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.898-904
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101650
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
挙筋腱膜縫着術は,上眼瞼挙筋が瞼板から外れている病態に対し,挙筋腱膜を縫着する手術治療である。さまざまな方法があるが,ここでは挙筋の短縮やミュラー筋の前転は行わずに挙筋腱膜の縫着のみを行う方法を紹介する1~5)。
文中の“white line”とは眼窩隔膜が挙筋腱膜と接続する部分のことで,白くしっかりとした組織なのでこのように呼ぶことがある6,7)。多くの文献では,これは「挙筋と眼窩隔膜との接合部」や「腱膜の巻きあがった端8)」などと表現されるのみである。しかし挙筋腱膜を露出する際に眼窩隔膜を white line 直上で切開するなど,術中の指標として繰り返し出てくる重要な組織であるので,今回はこの用語を使わせていただいた。さらにそのすぐ上に低位横走靭帯(lower-positioned transverseligament)が走行しているとする説や7,9),特に横走靭帯との関連については述べていない文献など,挙筋遠位端の解剖に関してはさまざまな意見が交わされている。手術のための臨床解剖と組織学的裏づけは一致するべきであるが,混沌としているところもあり,今回は臨床解剖を優先して執筆していることをご理解いただきたい。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.