やさしい目で きびしい目で 46
達人への道―第2回 無駄は達人の美学
亀井 裕子
1
1東京女子医科大学附属第二病院眼科
pp.1569
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101392
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小春日和のあの日,彼女は私の前にいた。「最近物がだぶって見えて,めがねをかけてもよく見えない」というのだ。23歳の彼女には約5年間のソフトコンタクトレンズ装用歴があったが,普段はめがねなしでも生活できたという。
どれどれ,いつものようにカルテの最初のページを見る。そこには,オートレフラクトメータ,オートケラトメータの値を示す紙が貼ってある。「うん? もしかして……」彼女の顔を,スリットへと誘導した。細いスリット光が角膜をひとなでした。「やっぱりそうか」。ブルーライトに換えて,青い光の中に浮き上がるリングを確認した。
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