特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅰ.術中合併症の予防と対処
核分割困難
柴 琢也
1
1東京慈恵会医科大学眼科学教室
pp.56-60
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100790
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傾向
以前は成熟白内障に対する手術は,水晶体囊外摘出術(extracapsular cataract extraction:ECCE)が第一選択とされていた。しかし,手術方法や器械の進歩などにより水晶体超音波乳化吸引術(phacoemulsification and aspiration:PEA)の適応が広がり,現在では成熟白内障に対してもPEAが第一選択とされることが多い。PEAの適応が広がった大きな理由の1つに核分割法の登場が挙げられる。核分割を行うことにより,以前と比べて核処理に要する超音波発振を減らして効率よく核処理を行うことが可能になると同時に,後囊やチン小帯への負荷を軽減させて手術することが可能になった。しかし,時として不適切な核分割操作が重篤な合併症を引き起こすことがある。安全に白内障手術を行うためには確実な核分割が必須条件となり,その理論と技術の十分な習得を行うことが大切である。
核分割が困難になる原因は,主に術者側または患者側にある。さらに術者側要因は核分割以前の操作が原因になるものと,核分割操作そのものに原因があるものとに分けられる。核分割が困難な場合は病態を把握してそれぞれに対処する必要がある。
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