特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅰ.術中合併症の予防と対処
ハイドロダイセクション・核回転困難
大木 孝太郎
1
1大木眼科
pp.50-54
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100789
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傾向
ハイドロダイセクション(hydrodissection)が不確実な場合,術中に水晶体核を回転させることが困難になる。術中に水晶体核の回転ができない場合,手術の難易度は非常に高くなり,そのような状態で行う超音波乳化吸引術は術中合併症の発生する危険性も高い。また,水晶体核のみを分離しエピヌクレウス(epinucleus)が水晶体囊に貼り付いて残ると,このエピヌクレウスの吸引除去も大変困難で破囊の危険性も高い。したがって,確実なハイドロダイセクションは安全に超音波乳化吸引術を行うための大切なステップであることは間違いない。
本項のテーマであるハイドロダイセクション困難とは,ハイドロダイセクションが確実に作用しない場合と定義し,次の2つに分けて考えることにする。
(1)ハイドロダイセクションの手技がうまくない,未熟である場合
(2)ハイドロダイセクションはうまく行えるが核が回転しない
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