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ソフトコンタクトレンズの素材開発の歴史
2003年の日本におけるコンタクトレンズ(CL)装用人口は1,371万人,購買人口は1,028万人,その市場規模は2,114億円であった。世界的にみても発展途上国の近代化に伴う近視患者の増加や,見た目やファッションなどの理由から眼鏡よりもCLを選ぶ人の比率は高まっていることがあいまって,CL市場は拡大し続いている。また,CLのなかでも装用感のよいソフトコンタクトレンズ(SCL)を選択する人の割合が,アメリカやヨーロッパを中心に増加しつつある。将来的には,超高齢社会に伴う遠近両用CLに対する需要や,煩雑なレンズケアを必要としない連続装用SCLなどの需要が増加することが予測される。
CLの歴史はレオナルド・ダ・ビンチ(Leonardo da Vinci)のアイデアに始まり,アクリルガラスとして利用されていたポリメチルメタクリレート(PMMA)の特性が偶然に発見された後,1946年に現在の形のCLが用いられるようになった。図1に簡単にCL材料のポリマー構造について示した。ポリマー側鎖の置換基が変化し,これに伴いCLの特性が多機能となっている。PMMA製のレンズは眼内レンズ(人工水晶体)としても用いられた。その後も快適かつ安全に装用できるレンズの研究開発が盛んに行われた。1970代になると2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)をベースとしたポリマーハイドロゲルのSCLが開発され,装用感のよさから特に米国で急激に利用者が増大した。今日では,製造コストを低下させることにより使い捨てレンズが可能となるなど,材料の開発がCLの進歩に大きな影響を与えてきたことがうかがえる。
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