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分娩時に出現する一過性徐脈(deceleration)の70%は,変動一過性徐脈(variable deceleration)であり1),variable decelerationの原因は表1の如くで,主な原因は臍帯圧迫と分娩第2期の児頭の圧迫である2)。臍帯圧迫は主に羊水過少症および臍帯巻絡で起こるが,臍帯巻絡が必ずしも分娩予後不良と結びつかないのに反し,羊水過少症は児の予後不良と密接な関係がある3)。最近,分娩前胎児管理試験としてmodified biophysical profile4)(MBP,NST+amniotic fluid index(AFI))が広く行われており,羊水量検査がルーチン化し,羊水過少症(AFI≤5)を合併し易い予定日超過および子宮内胎児発育遅延(IUGR)を分娩誘発する例が必然的に増加している。従って,これらの例における分娩誘発時に臍帯圧迫によるvariable decelerationの出現が予想される。Variable dece-lerationには軽度から高度のパターンがあり,高度なvariable decelerationでは妊婦への酸素吸入,体位変換などでも改善せず,fetal distressのため帝王切開となる率も高くなる。Variable dece-lerationは突発し,胎児のstressが除去できれば回復の早いこともあり,variable decelerationに対し陣痛抑制剤の使用に加えてamnioinfusionが最近再び注目されている。Gabbeらは,1976年に基礎的な動物実験で,羊水排液で人工的にvariable decelerationを誘発して,amnioinfusionを施行することでvariable decelerationが消失したと報告した5)。更に1983年Miyazakiらは反復するvariable decelerationおよびprolonged dece-leration症例に対してamnioinfusionを行い,fetal distressによる帝王切開率が著減したことを報告し6),amnioinfusionの有効性が注目されるようになった。
適 応
羊水過少症(AFI≦5)例にvariable decelera-tionsが出現し,妊婦への酸素吸入,体位変換でも改善されない場合および羊水混濁のある場合。
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