特集 エコー 診療マニュアル
胎児
45.四肢の奇形
坂井 昌人
1
,
岡井 崇
1
,
水野 正彦
1
Masato Sakai
1
1東京大学医学部産婦人科
pp.1464-1465
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905010
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上肢の形成不全の像(図1)
35歳,初産婦。妊娠31週に高度な子宮内胎児発育遅延,羊水過多を認めたため精査,両上肢の形成不全を伴う胎児多発奇形が認められた。図1は左上肢だが,躯幹から出た上肢には短い長管骨が一本認められるのみで肘関節はみられない。手首〜指は掌屈している。他の方向から観察しても複数の指として認められない。この屈曲位は時間をあけ複数回観察しても常に同一であり,屈曲拘縮と考えられた。肩関節の動きは認められた。右上肢には上腕と前腕が認められたが,手は左と同様に強く掌屈していた。この他,食道閉鎖が疑われ,VSDを含む心奇形,左腎無形成〜低形成,単一臍帯動脈が認められた。経腟分娩が選択され,妊娠35週に死産となった。児には前述した所見がすべて認められ,左上肢短縮,右手は指2本,左手は指1本,両手の屈曲拘縮があり両上肢の形成不全が確認された。また食道閉鎖の他,気管も閉鎖していた。
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