特集 エコー 診療マニュアル
婦人科
7.子宮体癌
和泉 佳彦
1
Yoshihiko Izumi
1
1高知赤十字病院産婦人科
pp.1372-1373
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904972
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症例1 70歳,子宮体癌Ⅰ期(図1)
子宮はほぼ正常大だが,子宮体部中央に周囲の筋層に比べて高輝度な塊状エコーが認められる。高輝度な塊状エコーは子宮体部にとどまり頸管への浸潤は見られない。健常筋層の厚さは比較的厚く,筋層浸潤が少ないと思われる。摘出標本では,腫瘤は子宮底部の内膜に見られる限局型,外向型の腺癌で,頸管浸潤や筋層浸潤はみられなかった。
閉経前には月経周期に伴って子宮内膜像の経時的な変化があり,特に分泌期中期には超音波断層法で高輝度な塊状エコーを観察することができる。しかし閉経後の子宮内膜は萎縮しており,超音波断層法でエコーの見られないことが多い。子宮体癌の好発年齢は50歳代の後半であり,患者の約75%は閉経後であるため閉経後に高輝度な塊状エコーが認められる時は精査が必要と思われる。
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