今月の臨床 不妊診療のピットフォール
治療のピットフォール
8.子宮筋腫合併不妊
田坂 慶一
1
,
矢田 美奈子
1
,
橋本 香映
1
1大阪大学大学院器官制御外科学
pp.1256-1259
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904759
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はじめに
子宮筋腫は生殖年齢後半女性の20〜50%に存在する.従来,子宮筋腫と不妊は古典的教科書では切っても切れない関係と報告されてきた.しかしながら女性において不妊の原因が筋腫である頻度は1〜2.4%であると比較的少ない.Butramら1)の報告以来,子宮筋腫の不妊症における原因としての評価は低下してきている.また子宮筋腫が妊娠中に大きくなる確率は比較的低く,妊娠中の合併症を引き起こす原因となる頻度は約10%程度といわれている.また開腹による筋腫の手術はその癒着のためにかえって不妊症の原因になるともいわれている.しかし,最近でも未だ筋腫の切除(開腹,腹腔鏡,子宮鏡)による妊娠の転帰は多くの学術雑誌に掲載されているのが現状である.したがって,現時点では子宮筋腫の不妊症における原因としての評価は従来想定されていたより低いが,なお筋腫治療の妊娠には話題性があると考えてよいであろう.ここではそれらをふまえた上で最近の知見のレビューを引用して,子宮筋腫合併不妊について述べる2).
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