原著
凍結融解後のヒト精子生存率と高速直進精子の関係
小峰 富美子
1
,
星本 和倫
1
,
星本 和種
1
,
林 雅敏
1
,
大藏 健義
1
1獨協医科大学越谷病院産婦人科
pp.1167-1171
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904742
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
精子の凍結保存はART(assisted reproduc—tive technology)において,きわめて重要な手技である.しかし,凍結保存後の精子生存率は症例により大きく変動する.最近の報告では,capacitationの過程の1つである精子細胞膜の流動性と,高速直進精子の存在,凍結融解後の精子生存率の間に何らかの関係があることがそれぞれ指摘されている.そこで,今回われわれは精液所見と凍結融解後の精子生存率との関係を比較検討した.その結果,多くの精液所見と凍結融解後の精子生存率との間に有意な相関は認められなかったが,高速直進精子の存在比率と凍結融解後の精子生存率との間には有意な相関が認められた.したがって,本研究から高速直進精子の存在比率の算定は,凍結融解後の精子生存率を予測する上で有用なマーカーである可能性が示唆された.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.