今月の臨床 妊婦健診のピットフォール
後期健診のピットフォール
4.血栓症リスクの評価は
吉村 寿博
1,2
1現:熊本労災病院産婦人科
2前:熊本大学医学部産科婦人科
pp.1138-1141
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904734
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はじめに
欧米における血栓性疾患(深部静脈血栓症や肺塞栓症)の発症率は約1,000分娩に1例と報告されている.肺塞栓がその約15%を占める1,2).肺塞栓症は,静脈系に発生した血栓が肺血管床を閉塞させる状態であり,そのほとんどは骨盤内や下肢の深部静脈血栓が遊離して起こる.深部静脈血栓症は妊娠中・産褥期どの時期でも発症するが,肺塞栓の2/3は産褥期に発症し,その80%は帝王切開術後である3).欧米では肺塞栓症は1980年代前半から既に妊産婦死亡の原因の第1位である.最近ではわが国でも,肺塞栓が妊産婦死亡の原因の20%を占め,第1位となっている4).
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