Japanese
English
特集 急性心筋梗塞後のrisk stratification
血栓溶解療法の予後とリスク
Short and Long-term Prognosis after Thrombolysis for Acute Myocardial Infarction
日比野 均
1
,
神原 啓文
1
Hitoshi Hibino
1
,
Hirofumi Kambara
1
1大阪赤十字病院心臓血管センター
1Cardiovascular Center, Osaka Red Cross Hospital
pp.643-651
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901079
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はじめに
1912年にHerrick1)が急性心筋梗塞(AMI)は急性冠動脈内血栓によって引き起こされると述べて以来,ストレプトキナーゼ(SK)の冠動脈内投与による数々の小規模スタディが行われた.これらはプロトコールが多様であり,いずれも発症から治療までの時間が長く,結果も様々であった.その後,この治療法は一時すたれてしまい,AMIにおいて早期に冠動脈内血栓を溶解することにより,梗塞巣を小範囲に止めようという試みが本格的に行われるようになったのは,1970年代後半のことであった.この試みは無作為スタディによって有効であることが証明されたが,冠動脈内投与をAMI発症早期に行うことのできる施設は少なく,経済的にも負担が大きいため,特に欧米では静脈内投与が主流となった.その後いくつかの大規模スタディによって,血栓溶解療法による心筋梗塞患者の予後改善効果が証明されている.
本稿では血栓溶解療法による心筋梗塞後の院内死亡率,再梗塞発症率,不整脈などの合併症発症率,左室機能保存効果,さらに長期間フォローした場合の死亡率,CABG,PTCA施行率,左室リモデリングへの影響,およびこれらの効果が使用薬剤や併用・後療法,治療時期,再灌流の程度によってどのように異なるか,またrisk stratifi-cationが可能であるのかどうかについても言及したい.
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