今月の臨床 多胎妊娠管理—レベルアップのために
双胎間輸血症候群の診断と管理
3.胎児循環—動脈系からの評価
中井 祐一郎
1,2
,
西尾 順子
1,2
,
峯 眞紀子
3
,
西原 里香
1,2
,
荻田 幸雄
1,2
1大阪市立大学大学院医学研究科・医学部生殖発達医学大講座
2大阪市立大学大学院医学研究科・生殖発生発育病態学講座
3聖バルナバ病院産婦人科
pp.746-749
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904657
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はじめに
双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusionsyndrome:以下,TTTS)に代表される一絨毛膜性二羊膜性(以下,MD)双胎児間における循環不均衡は古くから知られており1),今なおMD双胎における重篤な合併症として恐れられている.しかし,その定義については種々の報告がある2)もののいまだ曖昧なところがある.また,胎盤において血管吻合がみられる時には,多かれ少かれ血液の移動があると推察されるが.超音波検査を中心とする新しい評価方法の導入に伴い,このような循環不均衡を検出することが可能になった.したがって,本症の概念についても,拡大されていく傾向があると考えられる.本疾患の本質としては,多血児における心負荷と貧血児の発育遅延があげられるが,これらについては超音波ドプラ法による血流評価が有用である3)ことから,別項に述べられる静脈系を含めた報告が多数行われている.
本稿では,一絨毛膜性双胎における動脈血流所見について紹介するとともに,その臨床応用における注意点について解説する.
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