今月の臨床 妊娠中毒症—新しい視点から
新しい病因・病態論
5.妊娠中毒症における臓器血流とその変化
中井 祐一郎
1
,
峯 眞紀子
1
,
鈴木 晋一郎
2
,
西尾 順子
1
,
荻田 幸雄
1
1大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
2大阪市立十三市民病院産婦人科
pp.134-137
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904248
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はじめに
超音波ドプラ法が,産科領域に用いられるようになって早くも20年が過ぎている.この間,機器の改良は目覚ましく,技術に習熟しないものでも,胎児血管のみならず母体の種々の動脈についてもその血流速度波形を得ることは容易になっている.
妊娠中毒症に関しては,密接な関係のある子宮内胎児発育遅延における臍帯動脈血流やいわゆる慢性胎児仮死における中大脳動脈の血流変化など胎児側の血流について多くの報告がなされ,それを臨床に用いることにより一定の成果が得られてきた.一方,母体側血流については,深さ方向の分解能を持たない連続波ドプラ法に頼っていた時代から,子宮動脈血流は研究対象とされていたにもかかわらず,いまだ臨床に用いるに十分な成果を上げられているとは言えないのが現状である.
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