今月の臨床 産婦人科手術における合併症管理のすべて
IV 合併症への対応
2.尿管損傷
上領 頼啓
1
1済生会下関総合病院泌尿器科
pp.534-544
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904617
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はじめに
骨盤腔内は狭いスペースのなかに尿管,膀胱,尿道,直腸,女性ではさらに卵巣,卵管,子宮,腟と多くの器官が存在し,静脈が発達して複雑な静脈叢を形成している.このため手術に際して隣接臓器の同定が不完全であったり,拙劣な操作で出血させると容易に他臓器に損傷を与える.そのうえ各臓器が外科,泌尿器科,婦人科とそれぞれ領域が異なり,領域外の予期せぬ臓器損傷に対してその処置に慣れていないため,その対応を誤ると術後に後遺症を生じ患者のQOLを損なう.領域外の臓器損傷に対しては専門医の助けを借りることはもちろん必要であるが,骨盤内の手術を行うかぎりはたとえ領域外といえどもこうしたトラブルに遭遇した場合,それに対する適切な処置を知っておく必要があろう.
本稿では,婦人科手術の際に引き起こされた尿管損傷の対処の方法について述べる.
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