今月の臨床 子宮内膜症治療のストラテジー
各論
7.特殊型への対応
奥田 喜代司
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.1340-1343
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904498
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はじめに
子宮内膜症の好発部位は卵巣,ダグラス窩,仙骨子宮靭帯,膀胱漿膜,円靭帯などであるが,その特殊型とはこれら好発部位以外の子宮内膜症とも考えられる.特殊型には骨盤子宮内膜症と関連が深い腸管子宮内膜症,尿路子宮内膜症や,関連が薄い皮膚子宮内膜症,肺子宮内膜症などに分類することができる1).一方,組織発生を加味した病理学的特徴からみて腹膜子宮内膜症,卵巣子宮内膜症の特殊型として腺筋症様の病巣をもつ直腸腔中隔子宮内膜症2,3)は一つの特殊型といえる.これらの特殊型は発生部位が子宮から離れれば離れるほどホルモンの影響が薄れ,診断が困難になり,ホルモン療法の効果が悪くなる.したがって,特殊型の治療は組織学的確認も可能な手術療法が中心となるが,開腹手術が選択されることが多かった.近年の内視鏡手術における機器や技術の発展により,子宮内膜症の重症例や特殊型の症例までも内視鏡手術の適応が可能となってきた.とくにわれわれ婦人科医が遭遇しやすいのは,骨盤内子宮内膜症を伴った腸管や尿路子宮内膜症の合併に対する対応である.
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