今月の臨床 遺伝子医療—現況と将来
生殖医療における遺伝子診断
1.排卵障害に関する遺伝子
安田 勝彦
1
,
中嶋 達也
1
,
神崎 秀陽
1
1関西医科大学産科学婦人科学教室
pp.892-895
発行日 2001年8月10日
Published Date 2001/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904399
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はじめに
排卵とは単一の現象ではなく,①卵胞の発育ならびに成熟,②卵子の核,細胞質の成熟,③下垂体よりのLHの放出,④顆粒膜細胞の黄体化,⑤プロスタグランデインを介するコラゲナーゼの活性化,⑥卵胞壁頂部結合織の融解菲薄化に伴う破裂,⑦成熟卵の放出という一連の現象である.つまり排卵を単に卵胞の破裂としてではなく,卵の成熟とその放出過程,さらには黄体化への一連の過程としてとらえる必要がある.
排卵障害は卵胞の発育および成熟の異常,LHサージの時期やその分泌量の異常,卵胞破裂の異常などによって引き起こされる.臨床的には排卵障害は無排卵周期症,稀発月経,続発性無月経,黄体機能不全などを引き起こす.これら疾患の病態は明解にされつつあるが,その病因についてはほとんどわかっていないのが現状である.
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