今月の臨床 排卵誘発の問題点—新しい工夫と対策
IVF-ET
3.超多胎妊娠への対応—多胎減数手術の文献的考察
石原 理
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
pp.816-818
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904383
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はじめに
品胎(三胎)以上の超多胎妊娠は自然妊娠でも発生するが,特に要胎(四胎)以上の出産は稀で,それゆえ数多く記録が残されている.しかし,排卵誘発法の開発,そして特に体外受精など補助生殖技術(ART)の導入は,その発生率を,近年,急速に上昇させた.
ARTにおいては,移植胚数を増加することに比例し,妊娠率が上昇するという言説が長い間信じられ,必要以上の多胚移植が行われてきた.しかし,受精し移植可能となった良好胚数が4個以上得られた場合,2胚移植と3胚移植の間に妊娠数の差は認められず,多胎率の上昇を伴うだけであることが明らかとなり,もはや3個以上の胚移植は行われない国すらある1).すなわち,ARTについては,技術的進歩を取り入れ,品質管理が十分に行われるのであれば,原則2胚移植あるいはさらに1胚移植(single embryo transfer:SET)により十分な成績が得られる2,3)可能性がある.これは,ARTにともなう品胎以上の超多胎妊娠は,将来的には理論的に予防可能であることを示している.
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