臨床経験
卵巣嚢腫内容液穿刺吸引時漏出防止の工夫—ゴムシート接着穿刺法とフリーサイズポート
井上 滋夫
1
,
上野 有生
1
,
草西 洋
1
,
水谷 不二夫
1
1明石市立市民病院産婦人科
pp.1147-1150
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904146
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卵巣嚢腫を穿刺し内容液を吸引後,嚢腫を切除摘出する手法が普及しているが,内溶液漏出が問題となる.このたび、穿刺吸引時の漏出を皆無にする単純確実で安価な手法を開発したので紹介する.嚢腫直上の腹壁を約1.5cm開腹し,厚みが少なく有効開口面積が広いフレキシブルな軟質合成樹脂製の自製開創器「フリーサイズポート」を挿入,術野を確保する.径1cmの円筒にゴムシート(手術用ゴム手袋)を被せ,手術用接着剤(アロンアルファ®)を塗布し,ポート直下の嚢腫表面に接着させ接着部分より穿刺吸引する.穿刺部位はゴムシートにより腹腔内と遮断され,穿刺時の漏出液が腹腔内を汚染することは全くない.嚢腫が縮小すれば挟鉗して体外に脱出させ処理する.本手法は腹腔鏡よりもさらに腹壁切開が小さく,気腹または吊り上げに伴う侵襲もなく巨大卵巣嚢腫の摘出が可能である.
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