今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊の原因と検査
2.排卵因子
髙橋 健太郎
1
,
宮﨑 康二
1
1島根医科大学医学部産科婦人科
pp.492-501
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904001
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
不妊症の治療における重要なポイントは治療を開始する前に一連の系統的検査を完遂し,まず,不妊原因をある程度特定し,治療に一定の方向性をもたせることである.不妊原因のうち,排卵因子は女性因子のなかの15〜25%を占め,日常の外来診療でよく遭遇する疾患である.排卵は視床下部—下垂体—卵巣(hypothalamic-pituitary-ovar—ian axis:HPO)系を主軸とし,他の内分泌系,neurotransmitter,成長因子などが複雑に関連しながら制御されており,これらのどこかに異常が起きると排卵が障害される1).排卵障害を診断,治療していくうえで重要なことは排卵の機序をよく習得することである.
そこで,本稿ではまず排卵の基本的事項を述べ,次に排卵障害の原因疾患・障害部位とその鑑別診断のための検査について述べる.さらに,排卵に影響を及ぼす因子についても述べる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.