今月の臨床 新生児外科の最前線—産科医としての必須知識
外科治療の現況と産科医へのアドバイス
3.腹・背部疾患
2)消化管閉鎖
高松 英夫
1
1鹿児島大学医学部小児外科
pp.266-268
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903960
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近年の小児外科疾患の治療成績は向上し,その死亡のほとんどは合併する重症奇形に大きく影響されている.治療成績向上の要因としては出生前診断の普及により,より早期にかつ全身状態の保たれた状態で小児外科医のところに紹介されるようになったこと,低出生体重児でも長期に安全に使用できる人工呼吸器の開発,優れた抗生物質などの開発に伴う感染症の防止,種々の栄養法の開発による栄養管理の進歩などを挙げることができる.一方では,重症例や重症奇形合併例の増加がさらなる治療成績向上を阻害しているといえる.
本稿では新生児疾患のなかの消化管閉鎖についてその手術の現状,時期とその予後,出生前診断された場合の妊娠中の管理,出産時期,分娩方法などについて閉鎖部位別に述べる.妊娠中の管理については胎便性腹膜炎症例以外ではとくに問題となるものはない.ただ,羊水過多のあるものでは消化管閉鎖を伴っているものが多いため,胎児エコーではこのことを念頭に置いた注意深い観察が必要である.
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