特集 最新治療薬ガイド1990
Ⅴ.内分泌・生殖領域の治療剤
1.ゴナドトロピン療法薬
矢野 哲
1
,
水野 正彦
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.1123
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900233
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□pure FSH-hCG
1.対象と処方例
hMGによるゴナドトロピン療法は,1960年のLunen—feldによる初の臨床応用以来,排卵障害の治療法として現在広く普及している。しかし,その優れた効果の反面,多胎妊娠や卵巣過剰刺激(OHSS)などの発生率が高く,特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では,OHSSが重症化しやすいことが知られている。これは,従来のhMG製剤にはFSH活性以外にLH活性がほぼ同量含有されているためと考えられる。最近hMGを高度に精製し混在するLH活性をほとんど除去したpure FSHが開発された。中枢性無月経,無排卵周期症あるいはPCOSにおいて,従来のゴナドトロピン療法によりOHSSを反復する症例は,pure FSH-hCG療法の最もよい適応である。
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