症例
シゾフィランとCDDPの腹腔内投与およびCAP/CP療法が有効であった腹膜偽粘液腫の1例
寺本 憲司
1
,
新谷 潔
1
,
小原 範之
1
1甲南病院産婦人科
pp.1105-1108
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903754
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腹膜偽粘液腫は腹腔内に多量のゼラチン様物質(gelatinous substance:GS)が貯留した疾患であるため,一期的な治癒的外科切除は困難な場合がある.そのためcytoreduction surgery (再開腹を含む),GSの産生を低減させるための抗癌剤投与,GSの粘稠度を変化させるための薬剤投与,GSが再貯留した場合の排出が重要な課題となる.術後のGS再貯留を抑制するために,われわれは低分子デキストランとブドウ糖液による腹腔内洗浄およびシゾフィランとシスプラチンの腹腔内投与を行ったところ,術前に高値を示したCEA,CA19-9,CA 125はいずれも減少傾向を示し,GSの再貯留を認めなかった.しかし,その後の経過でCEAと19-9が漸増傾向を示したため,CAP療法を3回,CP療法を2回施行した.現在,CEAとCA19-9はややカットオフ値をこえているものの遠隔転移やGSの再貯留を認めておらず,粘液溶解療法と癌化学療法の併用はGSの除去と再貯留の防止に有効であると考えられた.
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