連載 Estrogen Series・40
環境エストロゲンと男性の生殖機能
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.1074-1075
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903745
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女性の不妊症には十分な関心が払われているが,男性の生殖機能(この場合,機能には解剖学的な変化も含まれる)については,これまで関心はむしろ低く,不妊症の男性寄与率が最近10%から25%に増大したことにも多くの関心を集めてはいない.デンマークのCarlsenら1)は世界各所からの61例の研究を総合的にメタアナリシスの対象とし,その結果,過去50年間にわたり精子の数と質がともに低下していることを示した.
このデンマークの研究によれば,1938年から1990年に至る間に精子数は11,300万/mlから6,600/mlに減少した1).これに類似した精子の数と質の低下は1973年から1992年に至るパリでもみられ2),スコットランドでは同様な減少が1940年から1969年の間でみられた3).デンマークの研究は,周産期に起きたなんらかの要因が,後に成人してからの精子産生能力に影響を与えるとの見解を示したが,その後の研究により,生まれた年代と精子数との相関が示された.これとは別に精巣癌の発生頻度増加が多くの国で報告され,また尿道下裂や停留精巣などの解剖学的異常の増加も記録されている.
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