今月の臨床 婦人科外来
内分泌疾患・不妊症患者の診療
11.不育症
牧野 恒久
1
,
松林 秀彦
1
1東海大学医学部産婦人科
pp.546-549
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903622
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●はじめに
不育症とは,妊孕能力が夫婦間にあっても妊娠期間を完遂できず,生児が得られない状態をいう.したがって,不育症には自然流産,早産,周産期胎児死亡などが含まれるが,そのほとんどは自然流産である.しかしながら,統計上の自然流産の頻度は約15%と高率であり,その50〜60%に胎児染色体異常が認められるため,自然流産のかなりの部分は自然淘汰を意味する.そこで,連続して3回以上流産を繰り返した場合を習慣流産という.外来を訪れる不育症患者のほとんどが習慣流産か反復流産(流産2回連続)の患者である.不育症専門外来を設けている病院は多くはないが,出生率の低下している現在では,その需要は増加している印象があり,最先端の不育症の診療が強く望まれているとわれわれは感じている.
不育症(習慣流産)の原因は多岐にわたっており,また原因不明の部分も少なくない.そのため系統立てた諸検査を施行し総合的に判断して方針を決定する必要がある1).さらに,subclinicalな異常を異常と捉えるかどうかは経験によるところが大きく,実際の診療は複雑である.以下に,現在われわれが行っている検査法(表)ならびに治療について,理論的な背景とともに述べる.
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