今月の臨床 性の分化とその異常—どこまで解明されたか
性分化異常の臨床
5.性器閉鎖症
吉田 勝彦
1
,
牧野田 知
1
,
藤井 亮太
1
1金沢医科大学産科婦人科
pp.73-75
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903512
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性分化異常の一形態としての性器閉鎖症とは,尿生殖洞と左右Müller管によって形成される外陰—腟—子宮—卵管と続く一連の管腔臓器の形成不全,あるいはこの一部に横中隔が形成されることによって生じる.発生学的な観点からすると,形成不全はどの部分にも生じうると思われるが,実地臨床上ではMüller管の下部の形成不全が多く認められ,臨床的には腟欠損症という形態を示すことが多い.横中隔は尿生殖洞とMüller管の癒合部分である腟の上方から3分の1のところに生じやすく,腟閉鎖症となる.また,尿生殖洞から形成される処女膜がときに閉鎖して横中隔と同様な形態を取り,処女膜閉鎖を呈することもある.
他の性分化異常と同様,性器閉鎖症の発症機構についてはいまだ不明な点が少なくなく,かつ形態もさまざまであり,泌尿器科疾患との合併なども多く報告されている.本稿では産婦人科臨床でよく遭遇する他科合併症のない上記の3疾患について,最近の文献で発表された治療法を中心に述べることとする.
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