今月の臨床 早産対策—いま臨床医ができること
早産をどう理解するか
3.早産治療のストラテジー—preterm PROMの予防は可能か
佐川 正
1
,
古田 伊都子
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.668-673
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903267
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1990年1月より1996年12月までに当科で早産期の前期破水(preterm PROM)と診断された82人(全分娩数の3.1%)について検討すると,妊娠28週未満の破水例では,破水から児娩出までの時間が他の破水時期よりも有意に長く,待機的に管理された症例が多いことがわかる(図1).また,破水後,抗生剤投与は74人(90.2%)に,tocolysisは43人(52.4%)に,dexamethasone投与は18人(22.0%)に,羊水補充療法・プロムフェンス®などの装着は8人(9.8%)に行われ,これらの治療の有無と破水した妊娠時期との間には有意な関連が認められた.
このようにpreterm PROM症例では,破水した妊娠週数が早いほど待機的かつintensiveな治療が行われる.しかし,妊娠28週未満の破水例では絨毛羊膜炎(CAM)と陣痛抑制困難がterminationの理由として最も多く(表1),この時期のpreterm PROMの管理の難しさを表している.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.