今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
婦人科腫瘍の鑑別診断
12.出血性黄体嚢胞
小林 浩一
1
,
木下 勝之
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
pp.616-620
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903258
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この疾患の特徴
・超音波経腟走査法の発達により,とくに付属器領域の診断能力は飛躍的に向上した.これにより,比較的小さな腫瘤の検出も可能となった.出血性黄体嚢胞もそのひとつであるが,しばしば超音波画像上でさまざまなパターンを呈するため,診断に苦慮することがある.
・出血性黄体嚢胞を,①卵胞期に主席卵胞が観察された位置と一致した位置に存在する嚢胞で,卵胞期にはまったく確認されず,黄体期にはじめて確認されること,②卵胞期末期の主席卵胞の平均径よりも嚢胞の平均径が大きく,嚢胞の平均径が20mm以上であること,と定義すると不妊症治療患者の20.7%に出血性黄体嚢胞が観察され,その出現頻度は治療薬剤にはあまり影響されなかった(表1).
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