今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
経腟超音波診断の基礎知識とコツ
1.経腟超音波の基礎と上手な走査法
馬場 一憲
1
1東京大学大学院医学系研究科医用生体工学
pp.378-385
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903223
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
経腹超音波と経腟超音波
・超音波プローブを腹壁に当てて検査を行う経腹超音波は簡便な方法であるが,腹壁の多重反射により腹壁直下の対象物の明瞭な像が得られない,腹壁内での超音波の屈折により像が歪むなど,臨床応用上いくつかの間題がある1,2).一般に超音波の周波数が高くなるほど,分解能(どこまで細かい部分まで識別できるかという能力)の高い断層像を得ることができる.しかし,組織を通るときの超音波の減衰が大きくなり,プローブから遠い部分では十分なパワーの超音波が到達できないために,明瞭な断層像が得られなくなってしまう1,2).一般に,経腹超音波では,3.5 MHz(症例によっては5.0MHz)程度の超音波が用いられる.それ以上高い周波数の超音波は,腹部の深い部分の像が得られないために用いられない.
・プローブを直接腟内に挿入する経腟超音波は,プローブと観察対象である婦人科内性器との距離を大幅に縮めることができるため,5.0MHzから8.0MHz程度の高い周波数の超音波を用いることが可能で,しかも対象となる婦人科内性器とプローブの間に腹壁のように多重反射を起こしたり屈折を起こしたりする複雑な組織がないため,分解能の高い高画質の断層像を得ることができる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.