症例
劇症型A群レンサ球菌感染症により入院中に母体死亡をきたした1例
青野 一則
1
,
芹川 武大
1
,
関根 正幸
1
,
東條 義弥
1
,
花岡 仁一
1
,
竹内 裕
1
,
徳永 昭輝
1
,
廣瀬 保夫
2
,
大石 昌典
3
,
渋谷 宏行
4
,
岡崎 悦夫
4
1新潟市民病院産婦人科
2新潟市民病院救命救急センター
3新潟市民病院小児科
4新潟市民病院臨床病理部
pp.1227-1230
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903096
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1985年にはじめて報告された劇症型A群レンサ球菌感染症は,健常人にも突然発症し,ショック,多臓器不全から急激に死に至る疾患である.発症機序は不明で有効な治療法もなく,死亡率は30〜85%ときわめて高い.今回筆者らは,本疾患によると思われる母体死亡例を経験したので報告する.
症例は妊娠29週,全前置胎盤,切迫早産で入院中の妊婦で,3日間の上気道炎症状に引き続き,突然40℃台の高熱,その数時間後には持続的な激しい下腹部痛,子宮収縮を認め,緊急帝王切開を施行した.胎盤はほぼ全面が剥離しており,児は重症仮死であったが救命できた.母体は術後回復室で突然ショックに陥り多臓器不全を併発,術後約9時間で死亡した.
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