今月の臨床 男性不妊をどうする
男性不妊とマイクロ授精
2.円形精子細胞の受精能
田中 温
1
,
永吉 基
1
,
粟田 松一郎
1
,
馬渡 善文
1
,
田中 威づみ
1
1セントマザー産婦人科医院
pp.1200-1204
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903089
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男性側の配偶子である精子が,卵子との受精能力を獲得するためには,精細管内において2回の減数分裂とspermiogenesisを経て精巣上体に運ばれ熟成するという一連の成熟過程が不可欠であるといわれている.しかし,近年マウスを用いた実験では父親由来の遺伝情報は第2精母細胞の段階で刷りこまれており1),さらに未熟な細胞レベルでの可能性も示唆されてきている.もしヒトにおいても,精子以前の造精細胞に同様な能力が備わっているのであれば,これらの細胞を用いて,ヒト卵子と正常に受精し,胚発生が生じることも十分期待できる.今回筆者らは,精子の一段階前の円形精子細胞の受精能力について実験を行い有用な結果を得たので報告する.
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