連載 Estrogen Series・18
ホルモン補充療法の開始にあたって子宮内膜生検を行うべきか
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.882-883
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903011
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子宮内膜癌の危険要因(risk factors)には未産婦であること,肥満,エストロゲンの単剤使用(unopposed estrogen)などがあるが,更年期後の女性にエストロゲン補充療法(ERT)を開始するにあたって内膜生検をすべきなのだろうか?米国癌協会(American Cancer Society)はいくつかの危険因子を挙げ,それらの危険因子がある場合には,ERTの有無にかかわらず,内膜生検によるスクリーニングを推奨している1).それらの危険因子とは,不妊症,肥満,不正出血,(プロゲストゲンズを伴わない)エストロゲンの単剤使用,(乳がんで使用される抗エストロゲン剤の)tamoxifen療法,などである.一方,カナダでの調査に基づく推奨では,更年期後の女性が不正出血などの症状を伴わないときには,内膜生検によるスクリーニングは不要であるとの結論を出している2).この場合もまた,ERTの有無とは無関係である.
ここでご紹介する著者らの論文は,2,964例の更年期前後の女性(平均年齢52歳,範囲は40〜66歳)を対象に子宮内膜生検を行い,その結果を発表したものである.生検標本は3人の病理学者が観察し,意見の一致をみたものである.
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