CURRENT CLINIC
HIV感染妊婦への対応—母子感染の現状と診療体制
宮澤 豊
1
1東京都立入塚病院産婦人科
pp.653-661
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902962
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筆者が初めてHIV感染妊産婦の診療に携わったのは1988年のことでした.当時副院長であった岡田清先生(前大塚病院院長,現多摩南部地域病院院長)に呼ばれ,「HIV感染妊婦が当院で分娩を希望しているので,受け持って欲しい」といわれたとき,「はい,わかりました」と即答したのを憶えています.大久保病院時代から,岡田先生の指導のもとに,東京都のHB, ATL,エイズなどの院内感染予防ならびに母子感染予防対策の研究に参画し,多少の知識を有していたためか,エイズだからという特別な気持ちはありませんでした.ただ,その当時は高知医科大学(相良祐輔教授)の情報以外にはほとんど参考にする文献などもなく体制づくりに大変苦労しました.それ以来10年,感染者への対応には大きな変化が起こり始めていますが,感染妊婦や母子感染の対応には変化がありません.最近はどっぷりとHIVにつかっていますが,感染者ヘの対応には,医療従事者の自覚と責任者の姿勢と決断が何よりもたいせつだと思っています.
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