原著
閉経婦人に対するエストリオールの有用性
板津 寿美江
1,2
,
工藤 美樹
1
,
井口 登美子
1
,
武田 佳彦
1
1東京女子医科大学産婦人科
2都立大塚病院産婦人科
pp.663-667
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902963
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閉経婦人に対するエストリオール(E3)の有用性を検討した.更年期症状は投与開始前Kupperman指数(22.3±2.9点)を100%として1か月後より62.9±7.0%に有意に減少した(p<0.001).各更年期症状の発現頻度順とその改善率(%)は①関節痛(60%),②血管運動神経障害(79%),③不眠(62%),④全身倦怠(77%),⑤神経質(64%),⑥頭痛(90%),⑦憂欝(75%),⑧心悸充進(86%),⑨めまい(100%),⑩知覚神経障害(50%),⑪蟻走感(100%)であり,全項目50%以上の改善を示した.骨密度は12か月を通じて有意ではないが増加傾向が認められ,腰背痛に関しても有意ではないが軽快傾向を示した.したがって,E3は他のエストロゲン製剤に比べて生物活性が劣るが,更年期症状は投与開始1か月後より改善し,骨量減少抑制にも働き,発癌性などの副作用もなく管理面からも有効な薬剤と考える.
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