今月の臨床 婦人科外来治療—Dos & Don'ts
その他
1.女性の尿失禁—外来診療における留意点
中田 真木
1
1東京警察病院産婦人科
pp.192-195
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
単純な腹圧時尿失禁
産婦人科外来で取り扱う尿失禁には,経産婦の腹圧時尿失禁で,頻尿や尿意切迫など膀胱尿道固有の機能障害を暗示する問題点を持たず,腹圧のときにだけ尿意なしに少量の尿もれを生じるような単純な尿もれが多い.このような症例の多くには薬剤によるコントロール,骨盤底再教育,手術治療のいずれも効果を期待できる.
これらの治療方式のなかでもっとも手軽に行えるのは薬剤によるコントロールである.腹圧性尿失禁に保険適用を持つβ刺激剤,および抗コリン剤や三環系抗うつ剤など以外の失禁治療薬は,膀胱収縮の抑制や尿道内圧の安定化などの機序を介して腹圧時の尿もれを軽減する.治療の実際にあたっては,腹圧性尿失禁の薬と切迫性尿失禁の薬をとくに区別せずに投与し,最適の薬剤を選択して差しつかえない.それぞれの薬剤が,膀胱収縮抑制の程度や作用時間などについてやや異なる特色を持っており,実際に使用して使いやすいものを続ければよい.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.