プライマリケアにおけるShared Care—尿失禁患者のマネジメント・8
高齢者尿失禁の調節・治療時の留意点
並河 正晃
1
1並河医院
pp.878-881
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908716
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高齢者尿失禁の特性
高齢者の身体の特徴は,治らない(慢性の)複数の疾患と,それらを原因とする複数の病態が,1人ひとりの高齢者に同時に存在(共存)し続けることである.
そのため高齢者の疾患・病態の調節・治療は,診療各科,看護,リハビリテーションなど,①専門各分野の適切な連携(shared care)が必要であり,尿失禁の場合も同様である.尿失禁以外の疾患・病態が,すでに調節・治療されていることも多く,それらのための薬剤の②副作用として尿失禁が生じていることもある.逆に尿失禁の調節・治療薬が新たな疾患・病態を起こしうる.また,多疾患・多病態のなかの尿失禁は,複数の原因(疾患)による③複数の尿失禁タイプによって構成されることも多い.さらに,多疾患・多病態のなかで,排便障害,ことに④糞づまりが重要であり,糞づまりの予防が,尿失禁をはじめ続発する疾患や病態の発来防止になるという認識が欠かせない.要介護の高齢者のなかで⑤寝たきり高齢者には,排泄(排尿・排便)に適した姿勢があらかじめ整えられる必要がある.
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