症例
妊娠中に増悪した再生不良性貧血の2例
金野 宏泰
1
,
山田 秀人
1
,
平山 恵美
1
,
佐川 正
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.103-107
発行日 1997年1月10日
Published Date 1997/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902817
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再生不良性貧血は汎血球減少を呈し,重篤な出血傾向や母体貧血に伴う胎児死亡,周産期の重症感染症の危険があり,母児にとってきわめてリスクの高い妊娠合併症と思われる.
今回,妊娠を契機に増悪し,分娩後に症状が自然軽快した再生不良性貧血合併妊娠の2症例を経験した.症例1は30歳で妊娠21週から汎血球減少の増悪(白血球3,000/mm3,赤血球180万/mm3,血小板2.4万/mm3)がみられ,プレドニン療法と血小板の集中的輸血を行い,妊娠34週3日に選択的帝王切開術を施行し,Apgarスコア8-8−9,2,550gの男児を出生した.症例2は19歳で妊娠22週より汎血球減少の増悪(白血球3,800/mm3,赤血王求282万/mm3,血小板2.3万/mm3)と凝固系の異常(FDP 43.3μg/ml)が観察された.プレドニン療法とメシル酸ガベキサート,およびトラネキサム酸の投与により改善がみられ,妊娠36週に前期破水,37週0日にApgarスコア8-8−9,2,500gの女児を経腟分娩した.2症例ともに産褥期に汎血球減少症が自然軽快した.
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