症例
妊娠中増悪し,治療に抵抗性を示した再生不良性貧血合併妊娠の1例
田村 正毅
1
,
高桑 好一
1
,
田中 憲一
1
1新潟大学医学部産科婦人科
pp.925-928
発行日 1994年7月10日
Published Date 1994/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901828
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再生不良性貧血は女性に好発する血液疾患である.近年,妊娠を契機として発症した症例の報告もあり,妊娠合併症として重要な疾患である.今回われわれは,妊娠前に寛解が得られたものの妊娠経過中に増悪し,以前の輸血の影響と思われる抗血小板抗体を認め血小板輸血に反応せず,ガンマグロブリン大量療法の併用といった各種治療に抵抗性を示した症例を経験した.最終的には,分娩時の大量血小板輸血により生児を得たが,1,400mlの出血を認め大量出血の危険性を十分認識することが重要であると判断された.
最近の内科学的治療の進歩により,再生不良性貧血合併妊娠を管理する機会は増加するものと考えられる.本症例のように,寛解例でも妊娠経過中に増悪したり,既往の輸血時の感作により抗血小板抗体が出現することも念頭におき,妊娠管理・分娩に当たっては十分な検討・準備を行う必要があるものと考えられた.
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