症例
True sacculationをきたした妊娠子宮の1症例
花岡 仁一
1
,
徳永 昭輝
1
,
竹内 裕
1
,
柳瀬 徹
1
,
今井 勤
1
1新潟市民病院産婦人科
pp.1339-1341
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902706
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True sacculationとは,子宮の極性が保たれたまま,妊娠子宮壁の一部が薄く嚢状に膨隆する,きわめてまれで特異な病態である.このたび,本邦ではじめてと思われる,本症をきたした1症例を経験したので報告する.
症例は29歳,1妊1産(正常分娩).絨毛羊膜炎,骨盤位のため,妊娠25週で帝王切開した.胎児,胎盤娩出後子宮を観察すると,胎盤の一部が付着していた,子宮底左側から左円靭帯および付属器付着部頭側の体部前側壁は嚢状に膨隆し,子宮壁は非常に薄く,漿膜面は暗青色を呈し血管の怒張を認めた.同部は収縮せず,子宮腔内に凝血塊の充満をきたしたため子宮全摘した.病理学的検索では,子宮壁の厚さは5mm以下,筋細胞は粗で静脈の拡張があり,一部に癒着胎盤を認めた.
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