連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
超音波映像下の内頸静脈穿刺法
風戸 貞之
1
,
石川 薫
1
1名古屋第一赤十字病院産婦人科
pp.1330
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902703
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重症患者の循環モニター(CVP, Swan-Ganz)や中心静脈栄養を行うために,また末梢静脈の確保が困難でかつ急速大量の輸液が必要なときに,中心静脈穿刺法は必要不可欠な手技であり,産婦人科医も習熟すべきかと思われる.中心静脈(上,下大静脈の右房より5cm以内の領域)への主たるアプローチとしては,鎖骨下静脈穿刺法,内頸静脈穿刺法,大腿静脈穿刺法があり,それぞれに長所,短所がある.本邦で最も普及している鎖骨下静脈穿刺法には,気胸という合併症の陰がついてまわり,また穿刺不能のこともある.そこで著者らは,初心者でも安全かつ確実に中心静脈を確保できる方法として,超音波映像下の内頸静脈穿刺法を工夫したので紹介する.
まず,患者を軽い15〜20度のTrendelenburg体位とし,タオルを肩の下に入れ,顔を左側に向けてもらい,胸鎖乳突筋の鎖骨脚と胸骨脚で形成される三角部に,超音波プローブを当てて右側の内頸静脈を同定する(図参照).横断面で丸く拍動して映像されるのが総頸動脈で,その近傍外側の浅い部位に内頸静脈がある.ヴァルサルヴァ法(息をこらえさせる)で拡張するので,これが内頸静脈であると確認できる.逆に,プローブを押し付け過ぎると縮小するので注意したい.プローブを90度回し縦断面で内頸静脈を超音波映像下におき,内頸静脈穿刺に着手する.
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