今月の臨床 乳房—管理のポイント
乳汁分泌
5.母乳アレルギーと食物アレルギー
上森 久美子
1
,
白幡 聡
1
1産業医科大学小児科
pp.892-894
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902589
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近年,成人のみならず乳幼児のアレルギー疾患が増加しつつあり,その原因のひとつとして食生活の変化や食品添加物の関与が指摘されている.かつてはアレルギーについて聖域と考えられていた母乳においても,微量の抗原刺激により人工乳以上にIgE抗体の産生が促進されることを示唆する成績1)も報告されている.事実,二親等以内にアレルギー疾患を有する新生児を母乳群,ペプチド調整乳群,通常の調整乳群の3群に分けて哺乳させ,生後6か月までの食物アレルギー発症について検討したわが国の報告では,母乳哺乳群でアトピー性疾患の発症およびRAST陽性例が最も多かったという2).本稿では最近の知見を中心にアレルギー発症予防の観点から乳児期の母乳アレルギーと食物アレルギーについて述べてみたい.
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