今月の臨床 妊娠と自己免疫疾患
自己免疫疾患と胎児・新生児
2.新生児頭蓋内出血
三村 俊二
1
1名古屋大学医学部小児科
pp.806-808
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902570
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母体の自己免疫疾患による胎児,新生児への影響については,基礎疾患の病態が胎児胎盤系に及ぼす結果としての症状,例えば胎児発育不全などと,自己抗体の胎盤移行により胎児,新生児に原疾患と同様の病態が生ずる場合に大別される.本稿の主題は新生児頭蓋内出血であるが,これは母体の自己免疫疾患との関係で考えると,母体側の原因疾患は,抗血小板抗体の産生が病態の一部を形成する疾患群,すなわち特発性血小板減少性紫斑病(以下,ITP),全身性ループスエリテマトーデス,混合性結合織病に事実上限定される.また,このうち後2者においては,新生児に生ずる病態として血小板減少症は認められるものの,実際に出血傾向を伴い頭蓋内出血を生ずることは経験的にもまた文献報告上もまずみられない.したがって,本稿ではITP母体の胎児あるいは新生児における血小板減少症による頭蓋内出血という点に焦点を絞ることにする.
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