疾患の病態と治療 ハイリスクベビー
新生児頭蓋内出血
久保 武士
1
Takeshi Kubo
1
1筑波大学臨床医学系産婦人科
pp.1109-1111
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205744
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Prod'houによれば,ハイリスクベビーは,以下の条件に適う児以外の全ての新生児である。その条件とは,妊娠適齢期の健康な母体から正常妊娠経過で38〜42週に頭位で生まれ,生後1分以内に啼泣してアプガースコアが7点以上,生後10〜15分の呼吸・中枢神経系が正常で生下時体重が10〜90パーセンタイルにはいることである。この条件を満たさない児であるからその範囲は広く,頭蓋内出血の児は典型的なハイリスクベビーといえる。
従来の産科学に従えば,新生児頭蓋内出血は分娩外傷の範疇に属するが,原因はいわゆる外傷(trauma)だけでなく,無酸素症または両者の共存である。しかし,近年の産科学の進歩とともに,外傷性のものは減少し,ハイリスク妊娠との関連で捕えるのがふさわしくなった。最近の知見をまじえ,産科学的立場からみた頭蓋内出血について簡単に述べてみたい。
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