今月の臨床 習慣流産をとめる
病因をめぐるControversy
5.予防的頸管縫縮術は有効か
河上 征治
1
,
廣田 穰
1
,
西尾 瑞香
1
1藤田保健衛生大学医学部産婦人科
pp.690-694
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902543
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晩婚・晩産,少産・少死の時代を迎え,周産期管理の重要性はますます大きな意味を持つようになってきた.妊娠の維持継続の異常としては,流産と早産が挙げられるが,なかでも習慣流産は妊娠が成立しても挙児を得られないことから,患者本人と患者家族の生児獲得への願望は,ある意味では不妊症患者のそれよりも強いといえる.習慣流産の原因には,母体因子(子宮異常,内分泌異常,感染症,自己免疫疾患)や夫婦由来の因子(染色体異常),母児関連因子(血液型不適合,免疫学的因子)のほか,原因の解析ができず治療に苦慮する症例も少なくない.また一方,日常臨床においては、自然淘汰に逆行して流産の治療を行うべきかいなかを迷う例も多い.
頸管無力症に対する頸管縫縮術の有効性—とくに予防的頸管縫縮術の有効性の評価はコントロールを設定することが臨床上困難ではあるが,術後の生児獲得の可否を結果として明確にすることができることから,以下ではこの観点より頸管縫縮術の有効性を考察した.
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