今月の臨床 習慣流産をとめる
病因を探る
1.夫婦間の染色体異常
大濱 紘三
1
,
三春 範夫
1
1広島大学医学部産婦人科
pp.634-637
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902528
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これまでの研究により,卵子の約20〜25%,精子の約10%が染色体異常であることが明らかにされており,さらに受精過程において発生する異常を加えると受精卵の40〜50%は染色体異常であると推定される.また,妊娠6〜8週における胎芽の染色体異常率は5〜6%,新生児での異常率は0.6%であることから,染色体異常妊卵(児)の大部分は妊娠初期に死亡,排泄されることとなるが,事実,自然流産児の分析結果をみても,その50〜70%に染色体異常が認められている.
これらの成績から流産と染色体異常との関連はきわめて大きいことが認識されるようになり,とくに1962年にSchmid1)が習慣流産夫婦には転座保因者の率が高いことを報告した以後は,習慣流産の原因検索としての染色体検索は不可欠とされるようになった.ここでは習慣流産夫婦にみられる染色体異常の種類と頻度について述べるとともに,それらの異常がどのように流産と関連しているかについて概説する.
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