今月の臨床 子宮内膜症—Controversy '96
子宮内膜症—私はこうしている
6.低用量ダナゾール療法
松本 和紀
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科
pp.67-70
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902391
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従来器質的疾患のない,貧血となるような機能性の過多月経に対しては,エストロゲン・ゲスターゲンの合剤,いわゆるピルの周期的投与(ピンカス法)や月経時の止血剤投与が行われていた.また器質的疾患のない機能性月経困難症に対しては鎮痛剤(プロスタグランディン合成阻害剤)投与が一般的であり,症例によりこれにマイナートランキライザーを加えた.しかし通常の鎮痛剤内服では痛みがコントロールできず就学や就労に支障をきたす例も少なくなく,中には入院を要する例もみられる.さらに器質的疾患があってGn-RHアナログ投与の適応となるものでも,低エストロゲン状態を長期間に続けるには卵巣欠落症,骨粗鬆症などの問題があり,Gn-RHアナログの投与は6か月程度しかできない.
このような症例に対して,ダナゾール400〜600mg/日のfull dose投与は効果的ではあるが,体重増加,にきび,肝障害などの副作用が出現しやすく長期投与はむずかしい.
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